豊田堰

豊田堰  豊田堰は旧豊田堰に代えて現在の可動堰部から役150m下流に建設された堰で ある。
 旧豊田堰は明治34年に煉瓦造りに改築されて以来今日まで沿岸流域のかんがい 用水の水源として用水の確保ならびに取水など多大の恩恵をもたらしてきた。
 明治34年旧堰が改築されて以来利根川、小貝川は幾多の計画高水量の変遷に より高水流量が増大し、さらに幾多の治水計画の変遷がなされ80数年を経過し た現在河道沿岸の開発、社会情勢から治水および河川管理上旧堰改築の必要が 生じ、昭和43年調査に着手し、現計画の決定をみたものである。
 新しく建設された豊田堰は旧堰と同様にかんがい用水の確保、ならびに取水 を容易ならしめる目的をもち、洪水時には計画高水位(Y.P.+9.95m) から2.5mの高さにゲートを引き揚げ、計画高水流量の流下を安全ならしめるものである。
 構造は低水路(Y.P.+0.55m)にメーンゲート(スパン36.6m)2門、高水敷 (Y.P.+3.05m)にサイドゲート(スパン27.75m)4門(右岸3門、左岸1門)の計 6門からなり、総延長275mで河道全巾を可動堰とした。メーンおよびサイドゲートは 鋼鉄ローラゲートで堪水位を最高Y.P.+5.50mとし、メーンゲートの上部 1.0mを起伏ゲートとして小洪水に対して流量の調節を可能とする。
 堰地点の地質は粘土質と砂層の互層より成り、常陸台地の南辺部に広く分布 する沖積地に属する沖積層と成田層に属する共積層から構成されており、洪積 層は比較的浅く分布している。
 基礎構造はこれら地質条件を考慮しΦ300.0mm〜Φ812.8mm口径の鋼管 杭とコンクリート杭基礎とした。
 また施工順序は治水上の理由から毎年11月から翌年6月半に至る非洪水期間 をもって小貝川を3ブロックに分け、右岸より第1期として昭和47年度より工事に 着手し総工費27億円をもって、昭和51年度(昭和52年3月)に完成を見た ものである。


豊田堰の地図